[授業][旧記事] An Activity to Break the Ice.
“Guided Self-introduction”と呼んで、学期の始めにice breakingを主な目的として行なう活動がある。初回にランダムでグルーピングすることが多いので、初めて話すメンツがいれば特に、話すキッカケにしてね、というもの。これまでは、「普通の自己紹介では考えないような質問の内容を理解して答える」というのがメインで(1)を実施してきたのだが、今年はアレンジを加え(2)と(3)の形でやってみた。
(1) 1〜25から番号選択→司会が該当の英文読み上げ→質問に答える。
- 配布資料に5×5のテーブルを用意する(その場で作らせてもいいが)。あらかじめ番号を記入しておくか、番号を記入してもらう。ビンゴのゲーム性を高めたい場合は後者のほうがいいだろう。
- グループ内で司会(質問役)を決めてもらう。司会には質問の英文・和文が書かれたものを配布。他のメンバーには見せないように、と一応念を押す(特に厳しくする必要はないけど)。
- 番号を選び、質問をするやりとりの表現を導入・練習: 質問前の”May I have your name?”とか、”○○, Can I ask you a question?” “Sure.”といった表現(私は、手順を説明したついでにスクリーンに表示しておく。そうすると、自信のない学生も確認して言ってくれるし、グループ全員に質問し終わる頃には慣れてくれる)。
- 司会以外のメンバーが順に番号を選ぶ。司会はその番号のところに書かれた英文を読む(発音にはこだわらない。どうしても読めなくて困る場合はcall me)。ゆっくり2回読む。
- 司会以外のメンバーは、2回の間に質問の意味を考えて、答える。どうしても分からなければ司会が日本語で意味を教え、質問に答える。
- とは言え、ヘンテコな質問ばかりなので、クラスによっては和文で質問が50音順に並べられたヒントをグループに一枚配布する。この中のどれかだよとなると、固有名詞や分かる単語を手がかりにして、大半は2回以内にどの質問か当てることができる: 毎期改訂するが、昨年度使用したのは以下の25問。やや理工系男子寄り。
- ある日目が覚めると,あなたはあのお笑い芸人になっていました。誰?
- アンパンマンに自分が出てくるとしたら,何マンですか。
- 生き物の神様が現れてゲット・ア・チャンス。一日だけ好きな有名人になれるとしたら,誰になりますか。それは何で?
- 生き物の神様が現れてゲット・ア・チャンス。何か好きな動物に変わらなければならないとしたら,何になりますか。それは何で?
- 彼氏・彼女とカラオケに来ました。さて,まず何を唄おう?
- 気が早いけど,ロンドン・オリンピックにある新種目で参加決定!さて種目は何?
- 結婚するならどっち?: (略)
- ゲーム機で言うとしたら,自分はどれですか。
- さあ,好きな人に告白するチャンスだ!で,どこで?
- 最後の晩餐。何を食べますか。
- 時間の神様が現れてゲット・ア・チャンス。過去と未来,どっちに行きたいですか。それは何で?
- 実はあなたには他人には秘密の超能力が!さて,何ができる?
- 大好きな彼(女)との初デート。晩ご飯を食べるなら…: 4択(略)
- 宝くじで3億円当たった!さて,まず何に使う?
- 地球最後の日。何をして過ごしますか?誰と?
- 次の内,どれなら出演できそうですか。何役で?: 4択(略)
- 次の4人の中から誰かを選んでモノマネしてください。さあ,どうぞ!: 4択(略)
- 次はナニジンとして生まれますか。なぜ?
- ドラえもんに一つだけ道具を出してもらえるとしたら,何を出してもらいますか。
- 何歳までサンタクロースを信じていましたか?
- 無人島に一つだけ持っていけるとしたら,何を持っていきますか。
- ビストロスマップに出演決定!何をオーダーしますか。
- 人からは何型っぽいと言われますか。血液型。で,実際は?
- ポケモンで言うと自分は何ですか。
- ワンピースで言うと自分は誰ですか。
- 一巡りしたら、司会を交替して同じ作業を続ける。20分〜25分ぐらいで、まあまあの数の質問についてワイワイやれる。
- 時間に余裕があれば、何人かに答えた質問を聞き(あるいはもう一度英語で質問して)、全体で共有する。
- 「合コンで使ってもテッパンなので、ぜひ活用してください。その際は『変な英語の先生がいて、元ネタはその先生の授業なんだけど…』と一言添えてくれると嬉しいな」。
(2) 箱から一枚選択→1〜25の番号+質問→読み上げor英訳→質問に答える。
- グループの数だけ箱を用意する。抽選箱みたいなもののほうが雰囲気が出るかもしれないが、チラシ箱 でOK。
- A4を名刺サイズに10等分して英文の質問と和文の質問を25個、番号付きで用意する(今回は英文13個、和文12個で作ったが、バランスは0〜25の間で色々変えても): データをご入用の方はe-mail me, please. 今回は、上の質問のいくつかの他に、下の5つを和文質問として採用。昔NHKでやっていたアクターズ・スタジオ・インタビューの質問項目から借りたもの。
- 好きな言葉は何?
- あなたがときめくものは何?
- 好きな音はどんな音?
- 気が滅入るのはどんな時?
- 天国の入口で神様に何と言われたい?
- カード状にカットして、席替えのクジのように3回くらい折る: 今回は、全部折るのは超面倒なので、グループにカードの束を配布してその場で折ってもらった。ネタバレを何より恐れる私だが、それとなく質問項目を概観しプランニング・タイムになるなら良いだろうと都合良くこじつけた考えた。
- 5×5のテーブルの用意等は(1)と同じ。必要であれば質問をするやりとりの表現を導入・練習するのも同じ。
- 順に箱から一つ選んで、他のメンバーには見せないように開いて中を見る。質問が英文なら読み上げて答える。他の人も同じ質問をする。質問が和文なら、英語で他の人にその内容を質問する。
- 最初にビンゴの人が出たら終了にしてもいいし、時間の限り続けてもいい。実際キリみたいのが要るだろうと思ってビンゴのテイにしたのだが、今回実施したクラスではいつまでたってもビンゴの声が聞こえなかった。ビンゴになっても全然終わらず話し続けてた。ある程度フロー状態で盛り上がってくれたのだから嬉しい誤算なのだが。
(3) 事前に質問英文作成→箱から一枚選択→質問→読み上げor英訳→質問に答える。
- 基本的な手順は(2)と同じ。違うのは、事前に英文の質問を考えてくることを課題とし、当日、白紙のカードにその質問を記入して混ぜてもらうこと。今回は「自己紹介の活動でされたら面白いと思う質問を3つ」をお願いした。必要なら事前に添削する。
- 4人いれば12個の質問が集まるので、この場合用意するのは和文の質問だけ。もちろん教師が用意した英文の質問を混ぜ込んでもいい。ビンゴのテイは必要ないだろう(番号を振る手順が面倒になるし)。
(1)の形式にしたのはリーディング中心の授業であることや、(2)、(3)のような形式でやるのは難しいと判断される集団であったことが理由(どこでやっても活動としては盛り上がるけど)。
(2)と(3)の形式にアレンジしたのは、ライティングやスピーキング中心の授業であることが主な理由で、「あなたがときめくものは何?」とか「気が滅入るのはどんな時?」など、英語でなんて言ったらいいんだろうと思わせるような質問を敢えて混ぜた。で、活動中にアチコチをまわりながら、学生がひねり出した説明を聞きつつ、こんな言い方もあるよとかこう考えたらと英語でアドバイスをする感じ。
(3)を実施したクラスは、活動後に、この活動自体についてメタ的にグループでdiscussionしてもらった。どの質問がいちばん好きか、答え難かったか、英語で表現するのが難しかったかなどについて意見交換してもらい、その議論を通じて考えたことを英語でまとめて提出するのが課題という、まあまあタフな内容(3年生の専門科目なので)。
授業中の議論や提出されたものを見る限り、私の期待した通り、「あなたがときめくものは何?」・「気が滅入るのはどんな時?」などで戸惑いや発見があったという意見が多かったのだが、私が和文で用意したのと同じ質問を英文で作ってきて「同じ質問が出て嬉しかった」とコメントしてくれた学生がいた。そういう共感の感じ方もあるんだなあと私も嬉しくなった。