[授業][旧記事] 英語コミュニケーションⅢ

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前記事に引き続き、前期に担当した授業のことを書きます。

前期の専門科目はいずれも3年生対象だったのですが、もう一つは「英語コミュニケーションⅢ」(英語教育以外の専修の学生対象)。位置づけとしてはディスカッションやディベートが中心となる科目なのですが、ディスカッションのためのディスカッションというのは好みじゃないので、

To attain greater proficiency in English mainly through communicative activities and debates.

などと偉そうなOverall objectiveを掲げ、各回の授業を次のように構成しました。

  • Process of a lesson: You will
    • work on a given pre-task by the next lesson (preparation).
    • participate in a communicative task.
    • exchange your opinions about the task from the perspective of teachers in small group.
    • reflect on the discussion and your performance, and write a summary report on it.
    • finish the report and submit it after the lesson (review).
    • (be required to devise and implement your own tasks based on these experience.)

要するに「コミュニケーション活動を肴に教師の目線であれこれ議論する」という授業です。授業の構成については主に以下の文献にお世話になりました。

  • [1] Willis, Dave and Willis, Jane (2007). Doing Task-based Teaching. Oxford: Oxford University Press.
  • [2] 三浦孝・池岡慎・中嶋洋一(2006)『ヒューマンな英語授業がしたい!:かかわる、つながるコミュニケーション活動をデザインする』研究社
  • [3] Samuda, Virginia and Bygate, Martin (2008). Tasks in Second Language Learning. New York: Palgrave Macmillan.

この授業もテキストは指定せず、私が紹介するいろいろなコミュニケーション活動に生徒役で参加してもらい、毎回4つぐらいの観点を用意してグループ単位でディスカッションしてもらいました。毎回の授業後に150〜250 words程度のessay提出を求められ、後半に自分たちで考えたコミュニケーション活動を教師として実施しなければならず、最終レポートも求められるという毎度おなじみの鬼のような授業でしたが、みんな最後まで付き合ってくれました。

基本的に全て英語で進めましたが、こういう構成のため私はそれほど喋らず、活動や議論の最中にフィードバックを与えるのが主な役目でした(あとはエッセイの添削)。前半はハッパをかけて議論を促すこともありましたが、中盤から後半にかけては何も言わなくても学生たちが自主的に進めてくれました。結構荒っぽいところもあったと思うのですが、飲み込みと反応の早い学生たちで、本当に助けられました。スマートフォンを活用したり、活動の様子を録画してFacebookの授業専用グループに映像を置いたり、実験的な試みもさせてもらいました。

  • 2-3  Tasks for building rapport
  • 4-5  Tasks involving listing, sorting, and classifying
  • 6-7  Tasks involving matching and comparing
  • 8-9  Problem-solving tasks
  • 10-11  Storytelling tasks
  • 12-14  Projects (your task implementation)
  • 15  General Review of the Whole Course

当初は[1]をネタ本に上のようなスケジュールを構想していたのですが、中盤は必ずしもこのカテゴリーにとらわれずいろいろなタスクを紹介しました。これまでに私が蓄えてきたネタをできる限りさらけ出したという感じです。以前にice-breakingの活動について書きましたが、ざっと挙げるとGuided self-introduction, Interview and report, “Who am I?”, Guess what (Making inferences), Spot the differences, Describing the pictures, Making a story by telepathy (& Story-telling), Numbered Jenga, Elusive, Who did whatといったところです(タイトルだけだと何のこっちゃという方も多いと思うので、そのうち詳しく紹介してみたいと思っています)。こうした活動を通じてディスカッションでは、プロダクトとして何を求めるか、必要となる言語表現・知識・技能は何か、何を与えて始めるか進めるか、時間制限の有りや無しや、ゲーム的要素の是非やバランスといったことを考えてもらいました。

その上で、ペアで30分ぐらいの活動を考えて実施してもらいました。人生ゲームとTongue Twisterを組み合わせた活動やら、昔話の冒頭かラストを演じて作品名を当てる活動やら、どのペアもよく練られた活動を提案してくれました。苦心していたのは時間配分や不測の展開の処理ぐらいで、お互いの活動についてのディスカッションや相互批評もそれまで紹介してきた活動以上に盛り上がっていてちょっと嫉妬したぐらいです。

とまあコミュニケーション活動を楽しんで議論も大いに盛り上がったのですが、もう少しTasksやコミュニケーション活動について理論的・分析的に考察させたかったなあと反省しています。活動を考案する際に[1]のTask-parametersや[2]のタスク・タイプ(Rapport-building, Planning, Completing, Problem-solving, Debates)とギャップの分類(Information , Opinions, Imagination)を導入していたものの、これは今後の課題です。「中学校・高校でやるとしたらこういう点をこういう風に工夫・改善したい」という感想は幾度となくもらったので、今後の授業と実践を通じてその視点を研ぎすましていってくれれば良いのですが。

来年は構成が変わって受講人数も変わるので(今回は11人、来年はたぶん30人〜)、ここまで欲張った授業は今年が最初で最後かなあとも思います。

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