[雑感019] 世界行ってみたらホントはこんなゼミだった!?
楽屋裏シリーズ。一部は以前にも書いたことがあるが、ゼミ配属が近づいてきたので、あらためて学部ゼミで取り組むことや年間の流れについて。まだまだ手探りなので変わっていくとは思うし、タイトル的には所属ゼミ生・卒業生に訊くほうが正確という気もするけども。
学部3、4年生合同の「学部ゼミ」と修士課程1、2年の「院ゼミ」を毎週開催している(学部ゼミに院生も参加しているし、院ゼミに学部生も参加しているが)。いずれも単位化されているわけではないので、卒業論文・修士論文の研究や進路の相談など、不定期に開催したり個別面談を行ったりするタイプの先生もいる。そういうやり方が合う人もいるだろう。私は、全員の参加による毎週の積み重ね、様々なイベントの積み重ねを通じて、全員がお互いから学ぶ場としてゼミを作りたい。
所属メンバー、各年度の大まかな活動内容、所属ゼミ生からのメッセージはこちらを参照。ここでは学部ゼミについて一年間の流れを述べる。
4月は、3年生が教育実習に行くまでに3、4回しか開催できないので、自己紹介と報告の基礎練習を目的に、教育実習の報告書を分析したり、教師論に関する文献を読んだりする。4年生をチューターにして、3年生が発表、報告者とは別の記録者が翌週にA4一、二枚の「ゼミ通信」を発行という流れ。このゼミ通信は、Word等のトレーニングも兼ねて、ローテーションでずっと続ける(この記事の執筆時点で第77号まで発行)。
3年生の実習中は4年の卒論検討を進めるが、何をやるかはゼミ生の希望を尊重するので、自ずと教採対策が主になる。3年生が戻ってきてから夏休みまでは、教採の面接練習を挟みつつ、 3年生を中心に文献検討を可能な限り行う。ここでの文献は、卒業論文のためというよりは、全員にメリットのあるもの(実習のふり返りを促し、教採や卒業後に資するようなもの)を選ぶ。例えば今年は、『小学校外国語活動 基本の「き」』を、紹介されている活動を実際にやりながら検討した。
4年生の意識を卒論に引き戻すために、9月に、信州大学・酒井ゼミとの合同ゼミ合宿を開催している。10月後半か11月頭に卒論中間発表会があるので、その準備を夏休みの課題とする。「酒井先生・信州大の学生・院生さんに聞いてもらうんだから、恥ずかしくないものにしよう」と。これは、3年も含めてかなりのインパクトがある。今年はさらに、名古屋大の院生を中心メンバーとする外国語教育メディア学会中部支部・外国語教育基礎研究部会をゲストに招き、マイクロリサーチを実施してもらった。
10月からは、1回に2人ずつ、4年の卒論検討と3年生の発表を一緒にやる。3年生の報告は、(a)大修館書店「英語教育」誌の好きな記事→(b)関連する文献(概論書やハンドブックのチャプター)→(c)論文(中部地区紀要やJALT Journal等、CiNiiなどで検索してもらう)という流れで3回ずつやってもらって、卒論のテーマを少しずつ考えてもらう(bとcは順序が入れ替わることもある)。2月のゼミ旅行までに卒論の研究課題概要(A4一枚程度のアブストラクト)を出すのがゴール。今年もちょうど3回目に入るところだ。
4年生は、個別にメール等でも対応するが、12月から週に一度別に時間を取って一人20〜40分程度面談をする。事前にDropboxの共有フォルダに進んだところまでをアップしといてもらい、それに目を通してアドバイスするという感じ。この時点では英語自体についてはできるだけ拘らないようにして、内容や構成、書式のコメントに傾注する(『外国語教育研究ハンドブック』やAPAのマニュアル等は紹介をする。昨年まではこれ見よがしに研究室の机に並べておいたが、今年はゼミに関係なく卒論・修論の書き方について話す特別講義の時間を作った)。1月第一週が提出締切なので、クリスマス辺りを私への提出締切として、ここでは英語も含めてかなり丁寧に、徹底的に添削する。提出までにさらに修正・添削のやりとり。今年から、私と並行して院生にも分担でレビュアーをお願いしている。提出された卒論を、差配して他の教員に査読してもらい、1月末〜2月初めの卒論発表会で4年生はゴール。お世話になった人たちにフィードバックをしたりして、ゼミ旅行の際に3年生の卒論研究課題概要に(先輩ヅラして)コメントをする。
3月半ばぐらいまでに、教採を受ける3年生には願書草稿を出してもらって添削する。4年生にも見てもらって、年度が変わってから必要に応じて何度か個人面談。去年から、英語科の学生・院生有志主催の面接・模擬授業対策自主ゼミも見ている。行ける時は直接コメントし、行けない時はFacebookのグループを通じてビデオにコメントをつけたり。大学院進学やその他もいるので、進路が教職に限られるわけではもちろんない。教職についても希望進路は小中高さまざま。教育実習等を経て迷うのは当然なので、ゼミに所属している間に考え、必要があれば周りや私に相談をして、決断し進んでいければよい。
今年は、長期留学者もいるものの、学部の3、4年生だけでもゼミ生が14人になった。ゼミは、コーヒー・紅茶を飲みながら、お菓子をつまみながらやるのだが、これだけの人数がいるとその準備も大変だし、発言を捌く司会も楽ではないだろう。だが、いろんな人のいろんな発表やコメント、考え方に触れられるのは魅力でもある。現在の英語科の中では一番やることの多いゼミだと思うが、年度末に刊行する『年報』を見れば明らかなように、それに見合うやりがいはある(と卒業時に感じてもらいたい)。同じだけのことを毎年続けられるかどうかは心許ないが、ゼミ生の主体的参加に応えるべく私もがんばる。
話をきかせてもらうために配属前に面談はするが、上記のような環境に身を置いて真剣に学びたいと思う者は誰でも歓迎する。
Where there is a will, there is a way.