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[本064] 西出『政策はなぜ検証できないのか』

[本064] 西出『政策はなぜ検証できないのか』

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ふだん馴染みのない分野で、また博士論文を元にしているため政策学や経営学特有のパサパサした文章がとっつきづらくはあったが、博士論文であるから学術的な構成は当然明瞭で、色々と参考になった。まとめにあたる第11章とおわりにだけでも広く読まれる価値がある。

法制化されている(その点で行政事業レビューやEBPMとは位相が異なる)政府の政策評価制度の実態をタイトルの通り検討したもので、コンパクトにまとめてしまえば、「現行制度の枠組は評価行動を統制する仕組みを持ちえていない」し、「その仕組みの実装化を各行政機関へ白紙的に委任している」ことが政策が「検証できない」原因というのが著者の指摘である(p. 11)。

この原因がもたらす評価行動として著者は、「評価従事者が行政資源の獲得を支援もしくは活動功績を標榜するために評価制度の利用を目論み、高い評価判定を評価結果として提示する」、「評価従事者が行政資源の獲得支援もしくは予定調和的に着実で円滑な制度運用のために評価制度の利用を目論み、評価結果が既存の政策情報に追従する」、同様の目的から「中庸化された評価結果の情報を提示する」実態を洗い出す(p. 107)。小難しく書いてはいるが、要するに、お手盛りで、自ら長いものに巻かれにいって、波風立たないようにしがち、ということだ。大学関係者もさまざまに思い当たることがあるのではなかろうか(読んでいて、佐藤郁哉『大学改革の迷走』などが想起された)。

事例として選ばれた法科大学院の分析(第5章)を最も興味深く読んだ。それは、やはり司法試験合格率という動かせない事実があり、それに比して上記評価行動の異様さが際立つからである。評価制度の見直し過程についての分析でスッと置かれているが、「評価手法については、目標管理型評価の導入によってますます簡便な評価手法が主流となってきている」という指摘も示唆的だ(p. 148)。

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