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[授業後023] 生徒は何に困難を感じているか(英語科教育法で寄せられた質問から)

[授業後023] 生徒は何に困難を感じているか(英語科教育法で寄せられた質問から)

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昨年度の英語科教育法で学生から寄せられた質問とそれに対する私の回答シリーズ。

Q. 授業をしていく中で生徒の進行状況を知ることは、内容を決めたり、進めるスピードを決めたりする理由でとても重要だと思います。それでは、生徒はどのような所に困難を感じていると思いますか。英語が苦手、やりたくないと思うには、どのような要因があると考えますか。経験談などあれば、その状況や対処の方法なども知りたいです。

A. Tさん、どうも。これ自体が卒論の研究テーマになるような話ですが、かつて天満美智子さんという人(元津田塾大学学長で、リーディング指導で素晴らしい成果を残した方です。そのうち授業で紹介することになるでしょう)が『子どもが英語につまずくとき』という著書で、英文読解の困難要因として

  1. 学習者の言語知識の不足
  2. 学習者の常識的(背景的)知識の不足
  3. 教材の不適切さ
  4. 指導法の不適切さ

の4つを指摘しています。読むこと以外にも当てはまるでしょう。

どれ一つとっても解消は簡単なことではありませんが、2.は家庭環境や社会の状況も影響し、授業だけでどうにかなる問題ではありません。もちろん学校教育全体を通じて2.を豊かにしていくことも重要ですが。

1.はまさにそれを身につけようとして学んでいるわけで、それがやりたくないという理由であれば、英語を学ぶモチベーションを欠いているということになります。後の授業でも扱いますし、動機づけは重要な問題ですが、水飲み場まで連れて行ったとしても最終的に水を飲むかどうかは本人が決める問題であり、やる気だけを外から注入するというのは難しい話です。

そうすると、どうにかできるのは3と4ということになります。

4.については、ざっくり言うと、授業の運営に関わる問題と、指導スキルに関わる問題があります。指導スキルが高いに越したことはないのですが、観察していると生徒の不満は、なぜ今これに取り組むのかがわからない、という前者の問題が多いように思います。あるいはそこに十分な納得を得ないまま、渋々付き合っているからやる気も起きない、というような状況です。そこに納得や合意が得られているクラスであれば、先生の指導スキルがそれほど高くなくても、授業は安定し、生徒たちはそれぞれ学ぶことができると言えるでしょう。要するに生徒の心の動きをよく理解することが重要だと言えます。

さしあたりはこれぐらいで、私の授業の様々なところで直接・間接にこの話題に触れていきますので、また何かあれば訊いてください。

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