レビュー
[本106] カー『歴史とは何か 新版』

[本106] カー『歴史とは何か 新版』

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十分以上の読み応えがあった。

学生時代に背伸びをして手に取った岩波新書青版は、読んだ気になっていただけというのが一つ。帯にある通り全面新訳だから、清水幾太郎訳とはものがそもそも違うのだが、岩波新書赤版やクリーム色だった頃の講談社現代新書で育った感覚から言えば、全然、新書のレベルではないというのがもう一つ。

そう思うのは、社会科学的認識を問うという意味では内田義彦の文献を思わせるものの、前提とされる知識がこちらの方が多いからだが、本書が何か答えをくれるというよりは、これを通じて議論した方がよいという意味では、院生の読書会やゼミ向きか。第1講は依然として古典的価値が輝くが、現時点の私には第4講「歴史における因果連関」がおもしろかった。

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