レビュー
[本114] 小塩『大学生ミライの信頼性と妥当性の探究』/毛塚『社会科学のための統計学入門』
あれこれの仕事が重なると、腰を据えて読書する時間がなかなか取れないのがストレスなのだが、あれこれの仕事からの逃避でかえって本に手が伸びるというところがある。
- 小塩 真司 (2022).『大学生ミライの信頼性と妥当性の探究』ちとせプレス.
前著(『大学生ミライの因果関係の探究』)に比べると、面白くなくはないんだけど…というところ。書いている内容はもちろん重要で、安定性の議論は勉強になったのだが、信頼性と妥当性についての1冊を好んで読んでくれる学生がどれくらい周りにいるかというとだいぶ厳しい。
- 毛塚 和宏 (2022).『社会科学のための統計学入門: 実例からていねいに学ぶ』講談社.
全体の構成が(最後を除き)、担当していた「英語教育リサーチメソッド」(今はゼミでこの内容を取り上げている)の記述統計から推測統計の回に扱う内容・順番と驚くほど似ていて、私自身も教育心理学や統計学のあちこちの本から引っ張ってきて作りあげたので、まあ大体たどり着くところは一緒か…と思った次第。
内容はもちろん決して簡単ではないし、数式も出てくるが、副題にある通り丁寧で、それでいてデザイン的に重々しくない。学生に薦めるかといえば、統計をガチでやる強者でなければ授業等での解説無しに読みこなすのは難しいとは思う一方で、必要な時に世の中の現象をこういうふうに捉えられるよう、(なんなら英語は後でもいいから)高校で数学をがんばっておいてほしいなと思う自分がいる。
watari
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