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[雑感118] 2022年度をふり返る(原稿・発表編)

[雑感118] 2022年度をふり返る(原稿・発表編)

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2022年度にした仕事について。

他の仕事がやや多かったため、原稿・発表は控えめ。

  • 亘理 陽一 (2022).「『個別最適な学び』の何が問題か」『学校教育研究37, 70–83.

中教審特別部会や教育課程部会、経産省の「『未来の教室』とEdTech研究会」の議事録をひたすら漁り、2021年1月の中教審「教育課程部会における審議のまとめ」の解釈に至った経緯を辿り「犯人探し」をした論文。「犯人探し」と称するのは、この審議のまとめに至って、源流よりもかえって複雑で、学校教育に対する原理的問題を孕む概念に結実したから。その原理的問題も簡潔にまとめて指摘した。春先の忙しさも手伝って、会議の時系列を整理し議事録に目を通している間はつらかったが、書き上げた後は、議事録を系統的に検討するってだいじという実感と共に、かなりの充実感があった。

  • 亘理 陽一 (2022).「誰がためにGIGAの鐘はなる」『教育923, 5–12.

前年度の学会誌論文の骨子を抽出・再編し、加筆を加えたもの。それでも難しいと注文がついたものの、「英語教育2.0 Podcast」の[069] ノイラートの船 #PC016(亘理陽一)でも紹介した「テクノロジーの受け入れ方」の議論を多少でも盛り込めたことに満足している。

院生時代に『教育』を読み漁っていた頃を思えば、特集1の巻頭に自分の記事が載っているのはなんとも不思議な気分(過去2回は特集2だったので)。それ以上に嬉しいのは、私のゼミ出身の中村光揮先生に静岡聖光学院中学校・高等学校での実践を寄稿してもらって、同じ特集でのコラボが実現したことだ。特集を組むにあたって、自分が総括的な論考を書くことが決まる前から中村先生に依頼したいと思っていたぐらいなので、私の記事が邪魔していないことを祈りつつ、忙しい中で執筆してくれたことに感謝するばかり。

1年半ほどをかけて、常名先生・和田先生とmimi’x(鈴木楽器製作所)の付属教材を作成していた。中部地区英語教育学会での発表をベースにした、その実践報告。常名先生との共著は3度目だが、和田先生も加えた3人で学会発表をし、査読付き論文の形に結実できたのが何より嬉しい。

完成した『mimi’xを使って学ぼう!英語のリズムと音』は4月上旬には届くはず。手前味噌ながら、お2人と鈴木楽器製作所の尽力で良いものができた。

  • 亘理 陽一 (2022).「リクツで納得!学校英文法の『文法』10: その節は…どういうカンケイでしたっけ?」『TEN49, 11.

名詞句編も終盤ということで、関係代名詞節の基本的な意味・用法について取り上げた。実際に某所で中学生から寄せられた質問に対する回答がベースなので、すぐに書き上がった。紹介した曲は、Shawn Mendesの”If I Can’t Have You.” 最初に聞いた時から関係代名詞節のネタにしようと心に決めていた。

  • 亘理 陽一 (2023).「リクツで納得!学校英文法の『文法』11: この際、お互いの関係をハッキリさせましょう」『TEN50, 6.

当然ながら、記事のタイトルで検索すると恋愛関係の記事が先に出てきて面白い。Biber et al. (2021). Grammar of spoken and written English. John Benjamins.に基づいて、関係代名詞の使い分けについて解説した。整理も面白いし、せっかく入手したのに使わない手はないということで参照したのだが、紙幅にまとめるのには苦労した。

紹介した曲は、Taylor Swiftの”You Belong With Me.” 字数の関係でカットしたが、次の回の草稿冒頭には次のように書いた。「関係代名詞の説明がやや膨らんで、紙幅上、洋楽の例を残すのは難しいかなと思っていたところ、編集担当のSさんがうまく収めて残してくれた。礼を伝えたら、『次回の洋楽も楽しみにしています』と言われ、文法のリクツよりもそちらのプレッシャーが高まっている」。実際、回を追うごとに高まっている。来年度が心配だ。

その他、単著・共著を書き進めながら、翻訳を進め、このWebページで42冊の本の紹介またはレビューを書いた。もうちょっと増やしたいが、年が明けてから長めの記事を書く時間が取れず、SNSで短く紹介したものを含めれば読書量は昨年度並かなという気もする。学会発表は2件。読書会では2回報告を担当した。

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