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[本140] 今井・秋田『言語の本質』

[本140] 今井・秋田『言語の本質』

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音と意味の関係とか、子どもの語彙獲得の話として面白い部分もあったけど、狭い意味での文法(統語規則)がなぜそうなっているのかについてはほとんど触れていないわけで、タイトルは『言語的記号の諸条件』ぐらいじゃないかな、と思った。

それじゃあ売れないからと大上段に構えたわけでもなく、usage-based的な立場で「対称性推論」を「本質」と考えているのかな。不勉強者ゆえ、そこから語彙意味論を越えた領域の「言語の本質」を投射するにしても、まだまだ距離がありすぎてピンとは来ない。

「このような考察を踏まえると、英語は『オノマトペ語彙が貧弱』というより、もともとオノマトペだった表現が、動詞として文構造の中核に取り込まれ表現されるようになった結果、オノマトペ性を失い一般語化されてしまった、という仮説が真実味を帯びてくる」(p. 162)といったあたりは英語教育的にもそれなりにinformativeだとは思うのだけれど。

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