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[本179] 石井『教育「変革」の時代の羅針盤』

[本179] 石井『教育「変革」の時代の羅針盤』

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いただきもの。本なのに、読んでいると「相変わらずよく喋るなあ」と思わず笑みがこぼれる。「まとまった論理的な文章でまとめられたものというよりも、図解・ヴィジュアル重視で、頁数も一頁あたりの文字数も減り、内容もどんどんお手軽なもの、柔らかいものになってき」た教育雑誌・教育書の動向に自ら抗うが如く、お手軽じゃない内容てんこ盛りで論理を重ねに重ねる(p. 209)。

継ぎ足しのタレのように、過去の著作と比べ、その濃度はますます濃さを増しているように思われる。先日、オンラインでのミーティングの際、藤本さんが本書に言及をして、私がすぐにパッと取り出せたのは、一気に読むと「石井酔い」してしまいそうで、自分の心身に余裕のある時に章ごとに読み進めたからだ。行間に詰まった情報がそれなりに読み解けるだけに、私にはすらすら読み流せない一冊だ。

石井さんの中に授業や学校の具体はあるのだが、石井さんは特定の事例や固有名をあまり置かない。その意味で抽象度はずっと一定に保たれていて、自らの経験に引き付けて読める人はグイグイ読めるだろうと思うが、背後の実践(史)や石井さんが観察したり関わったりしている具体を補えないと、上空を通り過ぎていってしまうのではないかと危惧もされる。

石井さんからすると「その辺は監修・編集している他の本を見てね」というところだろうが、この詰まり具合は、羅針盤の通訳者が必要な段階に来ているようにも思われる。あと、ヴィジュアル重視じゃないとしても、図表はもう少し見やすく作っていいんですよ笑

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