メッセージ
[本188] 三宅『 「好き」を言語化する技術』
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三宅香帆 (2024).『 「好き」を言語化する技術: 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』ディスカヴァー・トゥエンティワン.
面白さを「共感」か「驚き」で語るという(第2章の)視点は英語教育にも示唆的だ。I like 〇〇.とかMy favorite △△ is 〇〇.などと言って終わりのケースが多くて、習慣的行動が次に続く場合もあるものの、「好き」なものが「共感」に基づくものなのか「驚異」に基づくものなのかを続けて語れるようになって損はしない。相手がI like 〇〇.とかMy favorite △△ is 〇〇.と言った際、好きに理由はないのにWhy?と聞いてしまうやり取りが日本全国で繰り返されているわけだけど、そう尋ねる側も聞きたいのは、そうした「共感」とか「驚異」とか、好きの種類や出所を掘り下げた情報なんだと思う。
と、あすこまさん @askoma さんが紹介されていた際には投稿したのだが、英語教育関係者が読むべきは第3章「推しの素晴らしさをしゃべる」の内容だった。現状のスピーキング指導の課題と解決(あるいは多くの授業に抜け落ちている視点)がここからたくさんもらえる。「『推し』という言葉で括られているそこの機微こそがさ」と思って読んでいると、(少なくとも私は)ちゃんと回収された。この章をテキストに先生方と研修したいぐらい。5章がライティング指導に役立つ!という人もいるだろう。
生徒・学生にも薦めたい良書。
watari
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