[本046] Minsky(大島(訳))『創造する心』

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英語教育界隈はもちろん、教育学関係者の間でも話題にはなっていないようだが、

は、(院生時代に『心の社会』に出会っていなかったら私も手に取っていないかもしれないが)とっても面白かった。

娘のマーガレット・ミンスキーのまとめを借りれば、「ロール・モデルとメンターが果たす決定的な役割」、「考えることについて考えることと、認知マップを明示的に作ること」の教育上の重要性、子どもが「何らかの専門家になる機会を与えられるべきだということ」(p. 242)。帯の新学習指導要領はどうでもいいと言えばいいのだが、プログラミング的思考だのGIGAスクールだのは、ミンスキーの、創造する心を創造するための自由な思考に本書で触れて、「コンピューターとは、アイデアを演奏できるような楽器だ」(アラン・ケイ)という考え方を根っこに置ける人が多くなればずいぶんマシになるに違いない(p. 240)。

個人的には、自己批評的思考の理論や、行動主義理論の捉え方が非常に示唆的だった。そして随所にthought-provokingなことばの数々。ミンスキーの提案がラディカル過ぎる主張に映るとすれば、それは、われわれが知らず知らずのうちに教育のある側面を当たり前とみなしていて、それが揺さぶられかけている証左だろう。

それにしても、読みやす過ぎる、達意の翻訳に唸る。

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